年齢を重ねても、住み慣れた家で安心して暮らしたい。そのために見直したいのが、家の中の転倒リスクです。

転倒は、段差のような「目に見える危険」だけでなく、夜の暗がりや床に置いた物など、ふだん気づきにくい「見えない危険」からも起こります。今回は、シニア世代とそのご家族の安心につながる住まいの工夫を、群馬県高崎市の工務店SAMATAがご紹介します。

この記事のポイント

  • 暗がりをなくす:廊下・階段・トイレに足元灯、寝室からトイレまで「光のつながり」をつくる
  • 床に物を置かない:通路に家具を置かず、床置きが生まれない収納計画にする
  • 新築時に計画するのがいちばん確実:照明の位置やスイッチ、収納、通路幅は、あとから変えるほど手間と費用がかかる

 

家の中の転倒は「見えない危険」から起こる

家の中は、毎日歩き慣れた場所です。だからこそ、足元をよく見ずに歩いたり、暗いまま移動したりしがちです。

特に注意したいのは、夜中にトイレへ起きたときや、両手に物を持って移動しているとき。わずかな暗さや床の小物が、つまずきやふらつきのきっかけになります。

家の中の主な「見えない危険」を、場所ごとにまとめました。

<見えない危険>

・寝室:夜中に起きたとき、照明のスイッチまで暗い中を歩く

・廊下:夜間の暗がり、通路に置いた家具や荷物

・階段:段の境目が見えにくい、照明が足元に届かない

・トイレ:まぶしすぎない照明/人感センサー

・リビング:電源コード、ラグの端、床置きの雑貨・観葉植物

・玄関:靴や荷物の置きっぱなし、上がり框での立ち座り

 

<対策>

・寝室:ベッドから手が届く位置にスイッチ/常夜灯

・廊下:人感センサー付きの足元灯/通路に物を置かない

・階段:段鼻(段の先端)を照らす足元灯/上下どちらでも点けられるスイッチ

・トイレ:夜間に明るい照明で目がくらむ、暗い中で立ち座り

・リビング:コンセントの位置を家具配置に合わせる/収納を使う場所の近くに

・玄関:土間収納/腰かけられる場所や手すり

 

 

① 見落としがちな「暗がり」が事故を招く

明るさは、安心と直結する大切な要素です。年齢を重ねると、暗い場所で物が見えにくくなったり、明るさの変化に目が慣れるまで時間がかかったりすると言われています。

廊下・階段・トイレの照明を、足元灯で補う

天井の照明だけでは、足元に影ができることがあります。廊下や階段、トイレの入口に足元灯(フットライト)を設けると、床や段の境目がはっきり見え、つまずきを防ぎやすくなります。人が近づくと自動で点く人感センサー付きなら、スイッチを探す必要もありません。

就寝時の常夜灯で、夜間の移動を安全に

夜中に目が覚めたとき、真っ暗な中で照明のスイッチを探して歩くのは危険です。寝室には、まぶしすぎない常夜灯や、ベッドから手が届く位置のスイッチを計画しておきましょう。

寝室からトイレまで「光のつながり」を確保する

大切なのは、1か所だけ明るくするのではなく、寝室 → 廊下 → トイレまで、移動する道すじが途切れずに照らされていることです。あわせて、寝室とトイレを近くに配置する間取りにしておくと、夜間の移動距離そのものが短くなります。

【POINT】
明るさの確保は、「見える」ためだけでなく「安心して歩ける」ための工夫です。照明計画で、転倒のリスクを減らすことができます。

 

② 家具配置と動線で「つまずき」を減らす

動線のほんの少しの工夫が、毎日の安心を生みます。

生活動線上に家具を置かず、通路幅をゆったり確保する

キッチンからダイニング、リビングから廊下など、毎日何度も通る道すじに家具がはみ出していると、体をよけたときにバランスを崩しやすくなります。家具の配置まで考えて間取りをつくると、通路にゆとりを残しやすくなります。将来、杖や歩行器を使うことになっても通りやすい幅にしておくと安心です。

床置き収納を減らし、「置きっぱなし」が生まれない仕組みに

床に物が置かれてしまう原因の多くは、しまう場所が遠い・足りないことです。よく使う物は使う場所の近くに収納をつくる、玄関に土間収納を設けるなど、「出したらすぐしまえる」収納計画にしておくと、床に物が出しっぱなしになりにくくなります。

観葉植物・インテリア雑貨・電源コードの位置にも注意

おしゃれな観葉植物やインテリア雑貨も、通路の近くにあると転倒の原因になることがあります。また、家電の電源コードが床をはっていると、足を引っかけやすくなります。家具や家電を置く位置に合わせてコンセントを計画すると、コードが通路を横切りにくくなります。

【POINT】
床に障害物を置かないだけで、安全性は大きく上がります。家族みんなが意識しなくても安全に歩ける「やさしい動線」が理想です。

 

 

新築でできること・今の家でできること

転倒を防ぐ工夫には、家を建てるときに計画しておきたいものと、今の家でもすぐにできるものがあります。

<新築・リフォーム時に計画すること>

照明:足元灯の位置/スイッチの位置/寝室とトイレの距離

動線:家具配置を前提にした通路幅

収納:使う場所の近くの収納/玄関の土間収納

床まわり:コンセントの位置/段差のない床

 

<今の家ですぐできること>

照明:コンセント式・電池式のセンサーライトを置く

動線:通路にはみ出した家具を動かす

収納:床に置いている物を減らす

床まわり:コードをまとめる/ラグの端を固定する

段差をなくす・引き戸にするなど、ほかの工夫は「いつまでも自宅で暮らせる家とは?健康寿命を延ばす住まいの工夫9選」でご紹介しています。

 

転倒リスクを減らす家づくりチェックリスト

  • 寝室からトイレまで、夜でも照らされた道すじがある
  • 廊下・階段・トイレの入口に足元灯がある
  • 寝室の照明スイッチに、ベッドから手が届く
  • 階段の照明を、上と下のどちらからでも点けられる
  • 毎日通る道すじに、家具がはみ出していない
  • よく使う物の収納が、使う場所の近くにある
  • 家具や家電の位置に合わせて、コンセントが計画されている

SAMATAの家づくりでできること

SAMATAは、1965年創業の群馬県高崎市の工務店です。大工経験のある代表が設計を担当し、ご家族の暮らし方を伺ったうえで、動線や収納まで考えた間取りをご提案しています。

足元灯や照明の位置、スイッチやコンセントの位置も、家具の配置や夜間の移動を考えながら一緒に計画します。

ご両親との同居や、将来ご自身が年齢を重ねたときの暮らしまで見据えた家づくりも、お気軽にご相談ください。

 

 

よくある質問

Q. 家の中で転倒しやすいのはどんな場所ですか?

A. 夜間に暗くなりやすい寝室・廊下・階段・トイレと、物が置かれやすいリビングや玄関です。暗がりで足元が見えないことや、床に置いた物・電源コード・ラグの端につまずくことが、転倒のきっかけになります。

Q. 足元灯はどこに付けるのが効果的ですか?

A. 夜間に通る道すじに沿って付けるのが効果的です。特に、寝室から廊下、トイレまでの移動ルートと、階段の段の境目が見える位置がおすすめです。人感センサー付きなら、スイッチを探さずに明かりが点きます。

Q. 夜中のトイレで転ばないための間取りの工夫はありますか?

A. 寝室とトイレを近くに配置して移動距離を短くすることと、寝室からトイレまでの道すじを足元灯などで途切れずに照らすことです。寝室の照明スイッチを、ベッドから手が届く位置に付けておくことも大切です。

Q. 床に物が散らからないようにするにはどうすればいいですか?

A. 物が床に置かれる原因の多くは、しまう場所が遠い・足りないことです。よく使う物を使う場所の近くに収納できるようにする、玄関に土間収納を設けるなど、「出したらすぐしまえる」収納計画にすると、床に物が出しっぱなしになりにくくなります。

Q. 今住んでいる家でもできる転倒対策はありますか?

A. あります。コンセント式や電池式のセンサーライトを廊下やトイレに置く、通路にはみ出した家具を動かす、電源コードをまとめる、ラグの端を固定する、といった対策はすぐに取り入れられます。

 

 

まとめ:「見えない危険」を減らして、安心して歩ける家に

  • 転倒は、暗がりや床の物など「見えない危険」から起こる
  • 足元灯・常夜灯で、寝室からトイレまで「光のつながり」をつくる
  • 通路に家具を置かず、床置きが生まれない収納計画にする
  • 照明・スイッチ・コンセント・収納は、新築時に計画するのがいちばん確実

転倒は、どなたにも起こりうる身近な事故です。

けれど、住まいの設計でそのリスクの多くを減らすことができます。

 

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