:木造の寿命30年ってほんと?

 

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国土交通省がこれまで公表してきた資料によれば、

木造の寿命は27年ないし30年としているケースが多いようです。

 

ところが、こうした数字は取り壊された建物の築年数であったり、

建物の新築数を取り壊した数で割った数字であったりして、

実態を反映した正確な数字ではないのです。

 

つまり、木造住宅の「寿命30年」の根拠とは、

実はだいたいが「取り壊した住宅の平均築年数」。

 

現実には、築40年・50年経過してもまだ取り壊されていない

十分に使用できる建物も多く、

これが一般的な建物の寿命を正確に表しているとは言えないのです。

 

 

 

 

:実際はどのくらいなのでしょう?

 

 

住宅の寿命については多くの研究があります。

早稲田大学の小松教授らが行った「建物の平均寿命推計」の最新調査(2011年)によれば、

人間の平均寿命を推計するのと同様の手法を建物で採用した場合、

木造住宅の平均寿命は64年としています。

 

 

おそらく今後はもっと寿命が伸びることになるでしょう。

適切な点検や修繕を行う慣習がなかったこれまでの状況で推計したのが上記の寿命で、

所有者が意識するだけで、格段に寿命は伸びるはずです。

 

また、建物の寿命をのばす技術も、時間の経過とともに進歩しています。

 

 

 

:200年もつような住宅を「つくる」

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「200年住めるような良い住宅をつくって、きちんと手入れして長持ちさせ、

それを市場で流通させる」。

 

2007年5月、自民党住宅土地調査会長(当時)だった福田元首相が

「200年住宅ビジョン」を提言しました。

 

平成26年に改正省エネ基準が施行され、国土交通省・経済産業省・環境省が設置する

「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」は

2020年までにすべての新築住宅を対象に新基準への適合の義務付けを決定。

 

一歩進んだ省エネ性能が求められることになりました。

 

約10年前に100年住宅ブームが起こり、現在建てられる住宅は

100年程度もつための耐久性や強度は備えていると言われていますが、

これを200年に引き伸ばすためには、数世代にわたってもつ構造躯体の耐久性や、

大地震後も使用可能な高い耐震性が必要になります。

 

「200年住宅」を実現するためには、まず数世代にわたって長持ちするような

住宅を増やしていかなければいけません。

 

 

:大切な「監理報告書」

 

住宅の履歴書、という言葉を耳にしたことはありませんか?

200年住宅だから必要という訳ではなく、住宅の監理のためにはとても

大切なものなのです。

 

200年住宅には監理記録が必須になってきます。

この監理は、建築士でなければ行うことができません。

手間も費用もかかります。

 

しかし、質の高い建物を残し、住宅の価値を維持する上で不可欠な業務なのです。

 

監理報告書には、以下の内容が最低限必要になります。

 

①地盤の状況
②地盤改良や杭打ちの状況
③地盤の掘削と砕石の状況
④防湿シートの種類と重ね
⑤基礎型枠の施工状況
⑥鉄筋の種類と施工状況
⑦アンカーボルトの状況
⑧コンクリートの配合と打設
⑨基礎パッキンの種類と状況
⑩土台の継ぎ手
⑪木材の断面と加工状況
⑫水平面、垂直面の耐力確認
⑬補強金物の確認
⑭釘の種類と施工状況
⑮ルーフィングの種類と重ね
⑯防湿シートの種類と重ね
⑰防水シートの施工状況
⑱断熱材の種類と施工状況
⑲設備機器の確認
⑳配管、配線の施工状況

 

これらは監理記録の一部であり、最低限必要な項目なのです。

 

住宅会社の良し悪しを判断する最重要なポイントは、

「監理報告書」の内容をチェックすることでも見極めることができます。

 

それは、30年後に後悔しないためのチェックでもあるのです。