:住宅ローンと火災保険は切っても切れない関係
住宅ローンを借りて新築する際は、
銀行から指定される条件を満たした火災保険に入ることになります。
指定条件は銀行ごとで異なります。
一般的には加入期間10年(住宅ローン期間が10年未満の場合はローン年数)、
建物評価額以上の保険金額に設定することが必須となります。
銀行や建築業者などから火災保険を紹介させることもありますが、
条件さえ満たせば、自分で保険会社を選んで加入してよいのです。
火災保険会社を比較すると、数万円の違いになる場合もあるので、
保険内容と保険料をよく調べましょう。
:銀行からはどんなことを指定させるのか
フラット35などを提供する住宅金融指定機構(旧住宅金融公庫)の場合、
火災保険の条件を以下のように定めています。
・保険期間は10年とし、満期時は保険期間10年の保険を改めて付保し、その後も償還期間中は同様とすること
・償還期間が10年未満の場合の保険期間は、償還期間以上であること
要点をまとめると、
10年契約をして、満期時にローン返済期間が10年以上残っていれば
同等の補償内容で10年更新し、
ローン返済期間10年未満の場合は残存期間以上の年数で
火災保険に契約するように義務付けています。
銀行からは家財保険や地震保険の加入を指定されることはなく、
免責設定やオプションも自由に設定できます。
何も考えずに銀行の条件を満たす最低限の内容で火災保険に加入するのではなく、
住宅ローンで取得して長く住む家だからこそ、補償内容は慎重に検討しましょう。
また、補償金額は建物評価額以上に設定することが義務付けられていて、
銀行によっては火災保険の質権設定を求められる場合もあります。
:火災保険の質権設定とは
銀行が住宅ローンで融資を行う担保の一環として
火災保険の保険金請求権に対して質権を設定することができます。
質権設定した場合は、火災やその他の災害で保険金請求できるのは
質権を持つ銀行になります。
災害や事故発生時に保険金を使って修復するか建て替えをして、
その家に住み続ける場合は、銀行から保険加入者が保険金を受け取って対処します。
質権設定のデメリットは、
質権を持つ金融機関の承認なしに勝手に火災保険を解約できなくなります。
火災保険には、質権設定そのものができない場合もあり、
銀行から質権設定を求められると、火災保険の選択肢が少なくなります。
:契約期間が最長10年に改訂
2015年10月より各損害保険会社の協議によって
10年を超える長期契約の新規受け入れを停止し、
最長10年までの契約しかできないように改訂されました。
住宅ローンで家を買う人は、火災保険も必要なものと捉えて
ローン期間一括での長期加入に積極的な方が多かったのですが、
長期契約になると長期割の係数が大きくなって保険会社が儲からなくなる
問題点を改善するための処置です。
2015年9月30日以前に住宅ローンを組んだ人からは
「火災保険も35年で入った方が楽だよ」とアドバイスされることもありますが、
現在は10年を超える契約はできません。
契約期間最長10年に変わったことで、
10年以上の住宅ローンを組むときは金融機関を問わず一律10年契約になりました。
改訂前は36年まで加入できる火災保険が「住宅ローン対応保険」と呼ばれていて、通販型保険は保険料が安くても住宅ローン利用時には長期契約ができずに選べないケースもよくありました。
保険期間の最長10年に制限されてからは、
住宅ローン利用時に加入できない火災保険が少なくなり、
より多くの保険会社を比較検討できるようになりました。
:火災保険会社を選べないケースも?
不動産会社から住宅を購入する場合、
住宅ローンや登記の手続きを全て不動産会社がサポートしてくれます。
親切な不動産会社であれば
「火災保険はどこでもいいから、1ヶ月以内にどの保険会社にするか決めておいてくださいね。
保険加入内容は案内を用意しておきます」
といった感じで案内されます。
しかし、悪質な不動産会社の場合火災保険について何も案内せずに
自社が代理店をしている損保会社で契約をさせる方向で話を進めていくケースもあります。
不動産会社からしてみれば、自分のところで火災保険に加入してもらえれば、
代理店としてのキックバック(手数料収入)を得られ、
不動産取得に向けての案内や調整業務が少なくなるメリットがあります。
不動産会社が強制して自社で扱う保険会社に加入させる行為は独占禁止法に触れますが、
保険会社を選べることを濁して話を進めてしまう行為はよくあります。
保険料が安い通販型保険で火災保険を加入したいなどと伝えた場合、
不動産会社は応じないといけないルールになっています。
このような強引な誘導に対処するためにも、
早めに火災保険の見積もりを自分で取るにあたっての
補償内容・保険設定金額などの確認を取っておくようにしましょう。